少し前の小岩での刺傷事件、コトの是非は論じるまでもないのだが、マスコミや音楽業界、さらにはサブカル界隈まで、それぞれに都合のいい解釈や逆に自らの界隈を必要以上に自虐する話もあって少し辟易していた。ちょっと落ち着いてきたので、シンガーソングライターのライブを主に改めて少し考えてみる。

まず事件で被害にあわれた方の肩書き、最初はアイドルとして報道されていたかと思えば、後になってシンガーソングライターやタレント活動している女子大生等、初期報道に対する批判からその表現が徐々に変わっていった。

報道としては「アイドルとその狂信的ファン」という図式に落とした方が視聴者の興味を煽りやすいのか、間違いなく先入観を持って取材をしているように感じられた。ろくに実態を調べもしないで初期報道され、それを鵜のみにして自称TVコメンテーターたちが訳知り顔で「ああだこうだ」述べておられた。

マスコミの取材不足や先だっての海老蔵氏の奥さんの件に見られるようなモラル低下を嘆く向きもあるようだが、自分としては以前からこの程度のものだと思っているので、目くじら立てて怒る気にもならない。「芸能人と芸能マスコミは持ちつ持たれつ」などと言って自己正当化している方たちに倫理観や綿密な基礎取材など求めても彼らは笑って流すだけだろう。

むしろ今は一億総評論家の時代なので、批判が表立ってくるだけ以前よりマシな気がする。少なくとも彼らは自分たちと違う倫理観を持った人種がいることくらいは理解できるだろうから。肩書きの報道の変化はその表れだと考えている。


さて、被害者の方がアイドルだったか、シンガーソングライター(以下SSW)だったか、はたまたさらに違うのか、事件の途中からそれが問題視されていたが、果たしてその肩書き論争は重要だったのだろうか?

今回の事件はアイドルやSSWの世界に限らず、スポーツ選手や演劇の世界にだって十分起こり得ること。さらにいえば、ごく普通の一般的な生活にだってこれは潜んでいる問題だ。応援をはき違えたストーカー的疑似恋愛、事件にはならなくともけっこう身近に潜んでいる。

部活やサークルの現役生にまとわりつくOB、女性タクシードライバーに執着するサラリーマン、カリスマ美容師のほめ言葉を真に受ける人・・・ 片や仕事だったり組織の中に身を置いている人たちと、片やそこにプライベートを持ち込もうとする人たち。

事件への遭遇確率*1 という差はあるだろうが、要はそこの公私の違いをどう理解し、させていくかが問題だ。根本的なところは加害者側の精神的な問題にあるのは間違いないが。

アイドルやSSW界隈でいえば、大きな組織にいてスタッフが多数回りにいるような人はごくわずかだ。多くのタレント・アーティストが1対1に近い形でお客さんと向き合うのが現状だ。

大きな盾を望めない以上は一部のコメンテーターと同じ話になってしまうが、普段の防衛アンテナを鋭くする必要はあると思う。

話しかけてくる内容であったり、観覧態度だったり、あるいは最近でいえばSNSの内容をチェックしてみるのもいい。*2


そういえば最近こんなことがあった。

あちこちのSSWのライブに足を運んでいるある人の話。
ツイッターで「誰それのライブに何回足を運んだ」とかやたら回数の話、感想は「凄かった」とか「良かった」ばかり。なんだかなあ・・・
ある対バンライブで前にいる人がしょっちゅう後ろを向いて物販席にいるアーティストをちらちらチラ見、落ち着きがない。気が散るなあ・・・
ライブ終わりに物販ブースでもその人が近くにいて、聞こえてきた名前はその回数自慢の方だった。

音楽を聴きに行っているはずなのに違う事が目的になってしまっている人がSSW界隈にはいっぱいいる。アイドルは「会う」ことが最初から目的になってる部分もあるので最初からその対応を求められるが、SSW界隈は「歌を聴く」ことが会うことへの免罪符みたいになっている人もいるのでむしろ性質が悪い。

もちろん物販に寄ったり、アーティストと交流を持つことは、SSW界隈のライブ要素の一つではあるが、音楽という肝心な部分が音楽以外への「手段」になってしまっている人がけっこういるのが現状だと思う。

また「物販命」になっている様なSSWもいる。都合が悪くなるとアイドルを装って発言し、時にはSSWを名乗ってサブカル界隈に食い込みイベンターを気どっているようなタレントさんまでいる。商魂逞しいといえばそれまでなのだが、こういった方たちのなりふり構わぬ戦術は純粋に歌が好きで話すことが苦手なSSWたちにとっては対バン上かなり迷惑だと思う。

客層が違いすぎるし、物販より歌を聴いてほしいと思っている人もいるし、アイドル的対応を求められることに苦慮する人もいる。またお客の方もグッズや複数枚のCDの購入に興味を持たない人もいるし、ライブが終わったらサッと帰ってしまう人もけっこういる。

このようにお客とアーティスト、それぞれの目的や思惑が相当異なっている中で行われているのが現状の対バンSSWライブだと思う。

ひとくくりにSSW界隈といってもアイドルライブと一緒で一概に表すことはできないフリ幅の広い世界。それをライブハウスに足を運んだこともない方たちがテレビで知ったようにあれこれ言っているのは滑稽としか言いようがない。

もちろん自分の知っている範囲もごく狭い一部分でしかない。
また、ライブ終わりにサインを求めている自分も他人様のことは言えないと思う(笑)*3

でも少なくともあの事件が報道された時には、いろんなことがちぐはぐで的を射た話を見かけなかった。けっきょくあれ以降もライブ現場は何も変わっていないし、セキュリティ上何が強化されるという話も聞かない。

被害者の方が意識が回復されたということが救いだが、今後どうしていけばいいのかは先が見えていない。現状維持でいけばいいのか、枠組み作りが必要なのか、それは音楽という「芸術」の世界の事でもあるので「型はめ」には慎重になるべきだが、どうしていけば楽しい世界になるのか答えは出てこない・・・


思いつきで言うならば「棲み分け」は強くするべきなのかなと。
よく対バンのブッキングで疑問をもつことがあるのだが・・・
ブッキング担当者がアーティストのライブへの考え方や曲内容、客層等をきちんと把握してアーティストにメリットのある形でライブを組むだけでも、少しはお客からのリスクは軽減するかなと。新規開拓が減る可能性はあるが、それ以上に意図しない(歓迎できない)お客がつく可能性もあるので。

また、各アーティストの持つ要注意人物の情報を共有できるようになれば、それもリスク軽減にはなるのかなと。これはアイドル・SSW界隈問わず、ライブ会場での迷惑行為を繰り返す輩の把握にも繋がるので意味は大きいような気がする。それをどうセキュリティに生かしていくかは考えなくてはならないが。

ここまで色々と考えてみたが考えまとまらず・・・
まあここは自分が意図しない客にならないよう戒めて、もう少し考えてみることとしよう・・・


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*1 不特定多数の人と接する機会に差があるので
*2 先日の事件の被害者の方は危険を察知して警察に相談されていたという。警察対応に関してはまた別角度の検討が必要だと思うが今回は界隈の話で
*3 ライブに取り置きで行くとチケットがない場合が多いので、セットリストも書いて頂いて後の記念と記憶になるようにしている。まあ話しかけるの苦手なので、一つのきっかけ作りの側面もある(汗